「給料を上げても社員が辞める」のはなぜか

退職理由が分からず悩む経営者と退職する社員のイメージ

「ようやく採用できたのに、半年で辞めてしまった」
「待遇は悪くないはずなのに人が定着しない」
「最近はすぐ辞める人が多い」

このような悩みを抱える経営者は少なくありません。
人材不足が深刻化する中、採用以上に重要になっているのが「定着」です。
しかし、離職の原因を給料だけだと考えていると、本当の問題を見落としてしまう可能性があります。
実際に退職理由を詳しく見ていくと、給与以外の要因が大きく影響しているケースが多くあります。

今回は、社員が辞める会社に共通する特徴と、その改善方法について解説します。


共通点① 仕事のルールが曖昧

社員が不安を感じる原因の一つが、「何が正しいのかわからない状態」です。
例えば、
 ・上司によって指示が違う
 ・業務手順が人によって異なる
 ・評価基準が不明確
 ・ルールが口頭でしか伝えられていない

このような状況では、社員は常に不安を抱えながら仕事をすることになります。
経営者や管理職にとっては当たり前のことでも、新しく入った社員には分かりません。
結果として、「この会社では働きにくい」 という印象につながります。


共通点② 相談しにくい職場環境

社員が相談できない職場環境とコミュニケーション不足のイメージ

退職者へのヒアリングでよく聞かれるのが、
「相談できる人がいなかった」
という声です。

業務上の悩みや不安があっても、
 ・忙しそうで声を掛けられない
 ・質問すると嫌な顔をされる
 ・相談しても改善されない

このような状況が続くと孤立感が強まります。

ここで一番重要なことは、社員が本音を言えない環境では、
表面上は ”問題がないように見える” ことです。

しかし実際には、
 ・不満が溜まっている
 ・改善の余地がある
 ・すでに限界に近い
といった状態になっていることも珍しくありません。
すると問題が大きくなる前に退職を選択してしまいます。

特に中小企業では、一人ひとりの影響が大きいため、
コミュニケーション不足は離職に直結しやすい傾向があります。


共通点③ 頑張っても評価されない

社員は給与だけで働いているわけではありません。
多くの人は、「自分の仕事を認めてもらいたい」と思っています。

しかし、
 ・評価基準がない
 ・何を頑張ればよいか分からない
 ・成果を出しても評価されない

この状態ではモチベーションは下がります。
結果として、「この会社にいても成長できない」と感じてしまうのです。


共通点④ 業務が属人化している

中小企業では、「〇〇さんしか分からない仕事」が増えやすい傾向があります。
すると、
 ・引継ぎができない
 ・教育に時間がかかる
 ・特定の社員に負担が集中する
という問題が発生します。

負担が偏れば不満も生まれます。
そして離職につながることもあります。

属人化を防ぐためには、業務手順や判断基準を整理して共有することも重要です。
「属人化を防ぐ第一歩はフロー図から」でも解説しています。


共通点⑤ 経営者の考えが伝わっていない

意外に多いのがこのケースです。

経営者は会社の将来を考えています。
しかし社員にはその考えが伝わっていません。

社員からすると、
「なぜこの仕事をしているのか」
「会社はどこを目指しているのか」
が見えない状態です。

目的が見えない仕事は、やりがいを感じにくくなります

共通点⑥ 問題が放置されている

例えば、
 ・勤務態度が悪い社員がいる
 ・ハラスメント気味の言動が見られる
 ・長時間労働が常態化している

このような問題があっても、
「今は忙しいから、落ち着いたら・・・」
「もう少し様子を見てから・・・」
と放置してしまうケースがあります。

しかし、現場の社員はその状況をしっかり見ています。

「なぜ会社は何も対応しないのか」
この疑問が不満に変わり、やがて退職という選択につながります。

特に中小企業の場合、1人の問題社員が職場全体に与える影響は非常に大きいです。
またパワーハラスメントは、問題が大きくなってから対応すると解決が難しくなることもあります。
「パワハラと言われる前に会社がやるべき対応とは?」も参考になります。


離職対策で本当に必要なのは「給料アップ」だけではない

もちろん給与水準は重要です。
しかし、離職理由はそれだけではありません。

実際には、
・ルールの見える化
・業務の見える化
・評価基準の見える化
・コミュニケーションの改善
などの積み重ねが定着率に大きく影響します。

つまり、「働きやすい環境を整えること」が重要なのです。


伴走型社労士が支援できること

社労士の伴走支援で社員と組織が成長していくイメージ

離職が続いている会社では、問題が一つではありません。

 ✓ 就業規則の問題
 ✓ 管理職の問題
 ✓ 業務フローの問題
 ✓ 評価制度の問題

さまざまな要因が絡み合っています。

だからこそ、「とりあえず給料を上げる」だけでは解決しないことが多いのです。

そして重要なのは、「退職が出てから考える」のではなく、
退職が出る前に整える」ことです。

例えば、
 ・就業規則を実態に合わせて見直す
 ・評価や処遇の基準を整理する
 ・問題社員への対応ルールを決める
 ・社員との認識のズレを確認する

これらを事前に整備しておくことで、離職リスクは大きく下がります。

また、社員が辞める会社の多くは、「気づいた時には手遅れ」になっています。
つまり、 経営者の方が「最近おかしいな」と感じた時点で、
すでに現場では限界に近い状態であることが多いのです。

だからこそ、早い段階で現状を客観的に把握することが重要です。

また自社では問題ないと思っていても、
第三者から見るとリスクが潜んでいるケースは少なくありません。

だからこそ伴走型社労士は、
経営者との対話を通じて現状を整理し、離職の原因を見える化する支援
を行います。

課題を整理し、優先順位を決め、一歩ずつ改善していく。
それが伴走支援の考え方です。



まとめ

社員が辞める原因は給料だけではありません。
 ・ルールの曖昧さ
 ・評価への不満
 ・コミュニケーション不足
 ・業務の属人化
 ・経営方針の共有不足

こうした問題が積み重なり、離職につながるケースは少なくありません。
もし、
「採用しても定着しない」
「退職理由がよく分からない」
「何から改善すべきか分からない」
という状況であれば、一度会社の現状を整理してみることをおすすめします。

離職の原因を見える化することが、定着率向上への第一歩になります。
実際には、
 ・採用してもすぐ退職してしまう
 ・退職理由が分からない
 ・管理職ごとに職場の雰囲気が違う
 ・特定の社員に負担が集中している
という場合は、一度現状を整理してみることをおすすめします。
離職の原因は、本人の問題ではなく組織の仕組みにあることも少なくありません。

組織の状態を一度、整理しませんか?

伴走支援は、相性と覚悟が大切です。
まずは現状を整理するところから始めましょう。

■ あわせて読みたい

<参考リンク>
・兵庫県社会保険労務士会(公式サイト)
 https://www.sr-hyogo.gr.jp/

・全国社会保険労務士会連合会(公式サイト)
 https://www.shakaihokenroumushi.jp/

・厚生労働省 働き方改革特設サイト
 https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/