属人化を防ぐ第一歩は「フロー図」から
~フロー図を活用して業務を見える化し、分担・並行作業を可能にする方法を解説~

「この業務は○○さんしか分からない」
中小企業では、このような状態が珍しくありません。
しかし、特定の人しか対応できない業務が増えると、会社全体にさまざまなリスクが生まれます。
例えば、
- 担当者が休むと業務が止まる
- 引き継ぎができない
- 他の社員がサポートできない
- 残業が特定の人に集中する
- 改善したくても全体像が分からない
といった問題です。
今回は、実際に行った「業務フローの見える化」によって、属人化の改善につながった事例をご紹介します。
一人しかできない業務をどう改善するか
今回のケースでは、ある業務を長年一人の担当者が抱えていました。
本人は慣れているため問題なく進めていましたが、周囲から見ると、
- 何をしているのか分からない
- どの順番で進んでいるのか分からない
- どこが重要なのか分からない
という状態でした。
そのため、他の社員が手伝うこともできず、結果として業務が完全に属人化していました。
取り組んだこと:まずはフロー図を作成
今回の取り組みでは、いきなりマニュアル化は行いませんでした。
最初に行ったのは、業務全体の流れをフロー図にすることです。
- 作業の開始から終了まで
- どのタイミングで、何をしているのか
- 判断が必要なポイントはどこか
これらを細かく文章にするのではなく、
図として整理することを優先しました。
「誰が見ても流れが分かる」ことが、この段階でのゴールです。
フロー図を作ることで見えてくるもの
フロー図とは、業務の流れを図で整理したものです。
文章だけでは分かりにくい業務でも、
- 何から始まるのか
- 次に何をするのか
- 誰が対応するのか
- どこで確認するのか
を視覚的に整理できます。
実際にフロー図を作成すると、それまで見えていなかった業務の構造が明確になりました。
具体的には、次のような変化がありました。
- 業務全体の流れが一目で分かる
- 作業の区切り(パーツ)が明確になる
- 「この部分は他の人でもできる」箇所が見えてくる
これまで一人で抱え込んでいた業務が、
他の人でも対応できる業務に変わっていきました。
特に大きかったのは、業務を「パーツ」に分けて考えられるようになったことです。
このように業務の流れを整理することで、見えていなかった課題が見つかることがあります。
見える化がなぜ重要なのかについては、「労務の"見える化"をしない会社が陥る3つのトラブルと対策」でも詳しく解説しています。
「分担できる」が最大のメリット
フロー図を作成した結果、業務全体を一人で抱える必要がないことが分かりました。
例えば、
- 入力作業
- 確認作業
- 書類作成
- チェック作業
- 連絡対応
など、それぞれを分けて考えることで、一部を他の社員へ分担できるようになりました。
さらに、これまで順番に一人で行っていた作業を、並行して進めることも可能になりました。
これは非常に大きな変化です。
業務改善というと、「効率化」ばかりに目が向きがちですが、実際には、
「その人がいないと業務が進まない」
という状態を解消できることが、会社にとって大きな価値になります。
ポイント:無理に最初からマニュアル化しない
ここで重要なのが、 ”最初から完璧なマニュアルを作ろうとしない” という点です。
業務改善では、
- フロー図
- マニュアル
- チェックリスト
- ルール整備
を一気に進めようとして、途中で止まってしまうケースが少なくありません。
特に現場では、通常業務を行いながら改善を進める必要があります。
そのため、最初から細かいマニュアル作成まで求めると、担当者の負担が大きくなり、結果として進まなくなることがあります。
まずは、 ”業務の流れを見える化する” ことから始めることが重要です。
そして、
- どこを分担できるか
- 誰が対応できそうか
- どこでミスが起きやすいか
を整理したうえで、必要な部分から少しずつマニュアル化していく方が、現実的で継続しやすい方法です。
見える化は「改善」のスタート地点
業務の見える化は、単に図を作ることではありません。本当の目的は、
- 業務を整理する
- 負担を偏らせない
- 誰でも対応できる状態に近づける
- 改善できる状態を作る
ことにあります。
特定の人に依存し続ける状態は、担当者本人にも大きな負担になります。
だからこそ、
「まずは見える化する」
ことが、組織改善の第一歩になります。
見える化は業務だけでなく、就業規則や労務管理の運用改善にも役立ちます。
組織運営における見える化の考え方については、「就業規則と見える化の関係:どこをどう整えるべきか」も参考になります。
属人化や業務の停滞は、組織改善のサインのひとつです。
社労士へ相談すべきタイミングについては、「社労士に相談するタイミングはいつ?中小企業の5つのサイン」でも紹介しています。
まとめ
属人化した業務を改善する際は、最初から完璧を目指す必要はありません。
まずはフロー図を作り、
- 業務の流れを整理する
- 分担できる部分を見つける
- 並行作業を可能にする
ことから始めるだけでも、大きな改善につながります。
そして必要に応じて、少しずつマニュアル化を進めていく。
この順番の方が、現場にも定着しやすく、継続的な改善につながります。
業務の見える化は、「効率化」のためだけではありません。
「誰か一人に依存しない組織」を作るための、大切な取り組みです。
- まずは流れを見える化する
- 分担・並行作業できる状態を作る
- その後、業務ごとにマニュアル化する
このステップを踏むことで、
現場の負担を抑えながら、着実に改善を進めることができます。
「マニュアル化が進まない」「特定の人に業務が集中している」
そんな場合は、フロー図から始めてみるのがおすすめです。
属人化の問題は、担当者の能力ではなく、業務の構造によって生まれることがあります。もし、
・特定の人しか分からない業務がある
・引き継ぎが進まない
・業務改善の優先順位が見えない
という状態であれば、まずは業務の流れを整理してみることをおすすめします。
見える化によって、改善すべきポイントや分担できる業務が見えてきます。
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伴走支援は、現状把握から始まります。
初回「見える化セッション」で、課題と優先順位を明確にします。
■あわせて読みたい
<参考リンク>
・兵庫県社会保険労務士会(公式サイト)
https://www.sr-hyogo.gr.jp/
・全国社会保険労務士会連合会(公式サイト)
https://www.shakaihokenroumushi.jp/
・厚生労働省 働き方改革特設サイト
https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/

